【110421 元GE技術者 菊池洋一氏インタビュー by IWJ 岩上安身氏】サマリー
岩上安身氏 「元々、建設関係でお仕事をされていて、最初から原子力に関心があったわけではなく、色々な御縁で携わり始めたように伺ったのですが、初めのほうはそれほど危険性を感じていなかったという事のようですが、1つはオイルショックがきっかけだという事のようで、その辺のお話から」
菊池洋一氏 「ひとつは僕が尊敬していた人、僕に仕事を叩き込んでくれた人が広島出身だという事。その人が原子力の平和利用は男冥利に尽きるという事で熱心に口説かれて、原子力の世界に飛び込んだ。
その後、原子力のほうでキャリアを積み、ゼネラル・アトミック(GA)という核融合なんかで有名な会社に。高温ガス炉を作っていたりしていた。GAは日本では有名ではないが、アメリカの2大メジャーのシェルとガルフが共同出資をして作っている会社なので相当強力なバックで、そこが核融合や高温ガス炉をやっていた。
そこにGEから人がスカウトされ、ゼネラルマネージャーをしていた人の関係で入社した」
岩上 「GEと言っても最初にお仕事されていたところはGETSCO(ジェスコ)と」
菊池 「ゼネラル・エレクトリック・テクニカル・サービス・カンパニー。これは原子力以外のもの、軍需産業や一般的な家電や色んな部品も手掛けていて、GEそのものは巨大な企業で、そこは全部ジェスコに入る。
そのジェスコの原子力事業部の極東支部(ファーイースト)の東京ブランチ(東京支社)のプランディングスケジュールスペシャリスト(企画行程のスペシャリスト)という所で仕事をし始めた」
岩上 「73年から80年まで7年6カ月。ちょうどオイルショックの時代。これも非常にきっかけになったと?」
菊池 「散々、日本の石油は湾岸諸国に牛耳られたので」
岩上 「石油がない。エネルギーを自前で確保できないというあの時の悲哀、或いは不安というのが?」
菊池 「それははありましたね」
岩上 「日本はある意味、パニックで右往左往した。そういう時に原子力があれば、と思われた?」
菊池 「そう・・・ですね。そうだ、そうだと説得されてそうなんだろうなとかそんな軽い感じだった。ただ、入ってすぐに技術的に駄目だという事に気付いた。辞めようかと思ったがアメリカの方から指示が来ていたようでなかなか会社が辞めさせてくれなかった。それで東海と福島をやった」
岩上 「日本で原発を最初にやったと言われる東海村の一号炉?」
菊池 「いえ、2号炉です。1号炉は炭酸ガス炉。2号炉が軽水炉」
岩上 「軽水炉を手掛けてそして福島も?」
菊池 「直接やったのは福島も6号機だけ。それも最後の一年ぐらい。それが終わった後、何故か古い原子炉の改造を担当する事になって、それで大変な思いをした」
岩上「入ってすぐに技術的に駄目だと気付いたという話、それはどういう意味でそう思われたのか?GEが素晴らしいと言われているけれども大したことないという意味か?GEという会社の商品が駄目なのではなくて原子力・原発という技術自体が根本的に非常に制御する事が難しいという意味なのか?」
菊池 「たぶんGEが駄目だという事でしょう」
岩上 「GEの技術が大したことない?なるほど。色々欠陥が見えていたという事?」
菊池 「うん、目一杯。最初、50ヶ所ぐらい直さなければいかんとか提言したんだけども、将来のプラントはこうするんだという完成図が上がってきて、それを見たら僕が指摘したところの大半が直っていたから、それは考えてくれたんだなと思ったけれども」
岩上 「非常に技術的に未熟なところがあると。でもその未熟な段階のものを日本は受け入れようとしていた。日本は技術的に優れているとよく言われるが、考えてみると原子力を使っている先進国の国々の中で自前でこうした技術を立ち上げた事のない国は日本だけなんですよね。
推進派の人たちが何か日本の技術はすごいとか、スリーマイルをバカにしたような事を散々言っていた。ずっと日本のほうがオペレーションが上手だとかチェルノブイリと型が違うとか、日本の技術者の方がもっと優秀だとか言っていたが、日本の技術がそれに比しても、それは借り物なのでどうかと思うが、その辺は?」
菊池 「福島6号機をやってる時に、もし新しい炉が日本の原子炉メーカーが作ったものだったら東電は採用しないとどっちにしろ言っていた。アメリカはそれなりに実力がある。どういう壊れ方をするのかというような暴走試験をする。それは散らばった配管の状況を見て設計し直すというような事を日立や東芝は出来ないだろうという意味で言っていると思う」
岩上 「じゃあ、東電が言っている事というのは、菊池さんがGEの技術は未熟だと言われたけれども、粗は目立っていたけれども最悪の事態をダイナミックに実験できるという事を考えるとやはりまだマシだった、という事なんでしょうね」
菊池 「GEがどこまで丁寧に実験しているかは話でしか知らないが、日本のメーカーとは違うという事は感じた。しかし間違いなく色んな欠陥があった。
最初に感じた事は原子炉を見た時、これは日本人が設計する炉じゃないなと。要するに地震国に建てる原発じゃないな。スカートから22Mぐらいあるわけだから(*)」
(*)〈個人ブログ〉SENZA FINE様より
「原子炉スカートと、断層を横断する一次系配管が心配だ」2005年6月10日〜原子炉のスカートの説明をする菊池さんの写真掲載。
スカートというのは下部の円形のぺデスタルという基礎。その円形のぺデスタルの上にどんぐりの底に輪っかとしてセットする。
それは日本の原子炉メーカーでちゃんと付けたものを持ち込んでくるのだが、底の部分をスカートと言う。その名の通り薄い。
原子炉圧力容器は15センチ18センチと結構厚いが、それに比べたらスカートとしか呼びようのないもの。それが間に挟まっている。それが直下型で下から突き上げられたら、ひとたまりもない」
岩上 「土地の特性を考えた使用というのも考えていかなければいけないが、でもアメリカで考えられ、アメリカで実験が繰り返され、アメリカで考えたリスクであって、ダイナミックであってもどこか落ちている部分があるんですね」
菊池 「だから、しょせん地震に対しては無理な形をしているので原子炉圧力容器というのはRPVぺデスタル(*)の上に袴を通して立っている。
(*)参考:東京電力PDF 6号機 原子炉本体基礎の点検・評価についての補足説明
しかし、地震がきたときには上部がグラグラ揺れ、それを揺れさせないためにRPVスタビライザーが下の方に付いていて、倒れないようにするもの。でもこれが変に突っ張ると格納容器が壊れるからそれをどう補強するかというのを去年、柏崎刈羽のそれに反対する科学者の集まりがあり、メンバーになっていた。なかなか技術が冠されていない。単に上が揺れるのでスタビライザーがあるがそんなもんじゃない。
原発で一番怖いのはスカートが壊れる事ももちろんだが、直下型地震に関しては必ず壊れるという自信がある」
岩上 「絶対に耐えられない、という自信?」
菊池 「うん。原発推進者たちはちゃんと計算している、と言っているが、真下寄り少し斜めに突き上げてくる地震にそんな薄いスカートが耐えられるわけないと思う。重さの事をみんな考えない。何十キロ下から突き上げてくる地震のエネルギーは炉の重さなんてどうってことはない。保安院も計算したから大丈夫と言うが、その計算が全然信用できない。
福島原発建設中にも自信があった事があり、その時にいたアメリカのエンジニアたちは青くなってガタガタ震えていた。そんな国のものであるという事」
岩上 「スカートという台座が非常に脆い。それは根本的な欠陥でそれ以外に支えがない」
菊池 「僕は地震との関係で危険を感じる。阪神淡路大震災の時の40センチ角の更迭の橋桁の柱が脆性破壊(*)を起こした。
(*)脆性破壊とは、破壊に至るまでにほとんど塑性変形を伴わずにパキっと割れてしまうイメージです。亀裂は高速に伝搬し、破面は平滑なのが特徴です。ガラスや陶器などの脆性材料はもちろん、通常は延性破壊を起こす金属材料でも低温では脆性破壊を起こすこともあります。
脆性破壊が原因となって起こった事故として有名なものは、第二次世界大戦の最中、アメリカ合衆国で大量に建造された規格型輸送船"リバティー船"の話が有名です。
【リンク】⇒CAE技術者の為の情報サイトより「材料強度学:脆性破壊」
厚みが5センチでした。5センチと言えばスカートとあまり変わらない。5センチぐらいの厚みの柱がグニャッと曲がるのではなくて凄いエネルギーが突然襲ってくるから脆性破壊を起こしていた。
そういうものは実際に地震に襲われてみないと分からない。ただ、阪神淡路の地震でそういう実績がある。
東海村の時にはスカートを薄く作りすぎたという連絡が現場から入った事がある。それが許容範囲内で収まっているのか、作り直さないといけない薄さなのか、僕がGEに入ったばっかりの頃でその辺をチェックするような立場になかったので、聞いているだけだった。
デルタバルブの衝撃
その時に思ったのは"モノというのは図面通りに出来てない事もあるんだな"と」
岩上 「実際の図面というのがいくらあっても、また書類で審査をしても、現場ではそれよりもさらに薄く作っている現場があった?そういう話を聞いていると、じゃあいくら図面が残っていても―――それは怖いですね」
菊池 「僕が原発は怖いと、30年以上経っても忘れられないのはそんな箇所がいーっぱいあるんですよ」
岩上 「そんな箇所が?スカートの部分が一例として、全体のシステムでみたら脆弱な部分がたくさんある?技術者の目から見て」
菊池 「一杯ある」
岩上 「配管がたくさんあり、冷却をしていく事がとても大事な事だという事が今回の事故で国民は嫌というほど分かった。
安全保障上の問題で核施設がミサイルで攻撃されたらどうなるか?非常に頑丈な建屋で守られているとか、あるいはテロリストが中央制御室に入るまでは何重にもバリアがあるんだとよく言われてきた。
ところが何のことはない。電源が喪失したら自前で暴走して爆発して放射性物質を撒き散らしていく、そのものが時限爆弾化していくという事が今回分かった」
菊池 「アメリカの911が起こった時、燃料を満載にしたジャンボジェットが横から突っ込んだら原子炉まで到達するかという議論をやっているという事を聞いた。原子力安全保安院と資料情報室と技術者とで。
あほらしくて聞いてられなかったが、そのまま立ち去るのも癪に障るので『横から来てもつかもたないかという議論をしているが、上から来たらもたないよ』と。
今度の事故を見れば分かるでしょ。上はオブラート」
岩上 「横は頑丈?」
菊池 「横もない。今回の事故でよく分かった。横だけはちゃんと出来ていると思っていたが、事故を見て『え?横も柱の間にコンクリートを積んでモルタルで塗っているだけじゃないか』と」
岩上 「ましてや、そんな程度でもなく、たかが電源喪失しただけでこんな大惨事になる。冷却が非常に大事だという事、その配管が非常に複雑だという事、そうした配管類がどうなっているのかという事が非常に気になる」
菊池 「メインストリーム配管という蒸気の配管とフィードウォーターという大口径配管の給水ラインがあり、その他に事故の時にまず頭に置いておかなければならないのはRHR(Residual Heat Removal System)という残留熱除去系のシステム。
これがちゃんと作動すれば、原子炉停止後の熱をどんどん取ってくれるのだが、これが動いていないという事。その次にHPCS(high pressure core spray system)とかLPCS(Low pressure core spray system)とかそういうシステムがあり、それは緊急事態が起きた時に水の高さに応じて作動するのだけれども、そういう配管やSLC(Standby Liquid Control System)というシステム、これは反応度を抑えるためにホウ酸水を入れるシステム。更に原子炉の一番てっぺんに炉の中に水をスプレイするRCIC(Reactor Core Isolation Cooling system)という配管があり炉心冷却システムと呼ばれている。
これらの配管が結構複雑に走っているがこれらの配管がどうなっているか全く言わない(*)
(*)参考:非常用炉心冷却装置・・・非常用炉心冷却装置(ECCS、Emergency Core Cooling System、緊急炉心冷却装置)は、水を冷却材として用いる原子炉の炉心で冷却水の喪失が起こった場合に動作する工学的安全施設である。炉心に冷却水を注入することで核燃料を長期に渡って冷却し燃料棒の損壊を防止する。ECCSの作動は原子炉の停止を意味する。
冷却材に水を使う動力炉では、炉心を冷やす冷却系統の配管が破断するなどして冷却水が喪失すると、炉心の熱密度が高いため、スクラムと呼ばれる制御棒の一斉挿入による原子炉の緊急停止を行なっても、炉心の余熱と放射性物質の崩壊熱による高熱で炉心が破損・溶解する危険性がある。ECCSは原子炉圧力容器に水を注入することで、炉心を冷却し破損を防止する。
機能
ECCSは、炉心の冷却と原子炉圧力容器内の減圧という2つの機能を備えている。
ECCSは幾つかの系統より構成される。以下に例を示す。
従来型BWRのECCS
· 高圧炉心スプレイ系(HPCS)
· 低圧炉心スプレイ系(LPCS)
· 低圧注水系(LPCI)
· 自動減圧系(ADS)
ABWR
· 低圧注水系(LPFL)
· 高圧炉心注水系(HPCF)
· 原子炉隔離時冷却系(RCIC)
· 自動減圧系(ADS)
【リンク】⇒非常用炉心冷却装置 by wikipedia
⇒上関原子力発電所 全体系統構成概要図
たぶん調べがつかなくて分からない。という事はそれだけ放射線レベルが高いと思うが情報がなさ過ぎて予測が立たないところがある。あとは出てきた放射線物質から推定して炉心溶融しているだろうとか、ではどれぐらい溶融しているかと言えば、量との関係になってくる。なにしろ東電が現場にいて正確に把握していない」
岩上 「今のままだと近寄れない状態にあり、作業できるレベルじゃない。更には地震で揺られて電源を喪失しただけではなくて繋ぎ込みも数週間前にやったが作動しない。恐らくは機械系の損傷というのがあるのだろうと」
菊池 「一番最初に思ったのは非常用冷却システムの色々な配管があちこちでギロチン破断を起こしてないかと。それでなくてもヒビが入っていて、水漏れが激しいのではないかと。この辺が一番心配」
岩上 「いま消防用の給水車で注水しているがこれはまた別途の配管?どこから注水しているかというだいたいの見当はつきますか?」
菊池 「分からない。とにかく心配なのは配管がズタズタにヒビが入っているのではないかという事。そうなっているとすると循環させて炉を冷やせない。
配管の心配を一番最初にした理由は壊れて当たり前だという気がする。原子炉の配管というのはものすごく複雑に出来ていてシステムがたくさんある。
配管が危ないと思っているのは、配管の取り付け方法で宙に吊ってある。原発の配管は全部上から吊ってあるので。
まず重要なのは格納容器の中の配管。外はなんとか見る事が出来ても中は簡単に覗くことが出来ない。内側の配管というのは上向き溶接(*)で吊っている。
(*)上向き溶接・・・下向きの溶接面をもつ溶接部にたいして、下から上向きの姿勢で行う溶接。 溶接姿勢としては最も難かしい。【リンク】⇒実用空調関連用語「上向き溶接」 by weblio辞書
下向いて溶接するぶんにはどうってことない。溶接工にとって溶接する姿勢というのは一番大事」
岩上 「上を向いて少し無理をした形で溶接するんですね」
菊池 「それでも足場を組んで溶接すればある程度安定はする。一番問題なのはその配管を支えているサスペンションシステムがコンスタントハンガーやスプリングハンガーのハンガー類で吊っている。(*)
(*)参考・・・三菱長崎機工株式会社HPより「管系支持装置」
それからオイルスナッバやメカニカルスナッバの防振器やそうしたサスペンションシステムを付けていくラグという四角い鉄板の切れ端があって、吊る時の金具が既に溶接されている。(*)
(*)参考・・・三和テッキ株式会社HPより 「配管支持装置」
それを天井にH型鋼の下から溶接する。非常に重要なコンスタントハンガーなんかを溶接しているベテランの溶接工の人に聞いてみると
「これ。大丈夫かね?」
「俺は自信がねえな。試験には通ると思うけどよぉ」
と言う。
どういう事かというと、下向き溶接と上向き溶接とでは強度が半分ぐらい。金属をくっつける時に熱で溶かす。上向きでやると溶かしたところのものが下に降りてくる。それを技術でカバーするのだが、上向き溶接だと自分の技術の半分も出せないと現場で言っていた。検査は通っても壊れたらどうしようもないんだけれども、そんなのが一杯ある。
たぶん、格納容器内の配管は吊っているわけだから地震であっちこっちガンガンぶつかっていると思う。そういう現実の巨大地震を想定できていないと思う。
発泡ボードは何ですか?
どっち方向に揺れるとか一応計算には入れるが実際には複雑で起こってみないと分からない。配管のサスペンションシステムというのは現場でも嫌がられてやる人がいない。東海村ではGEのなかでも嫌がってやる人がいなかったから僕がやった。
配管の支持装置なんていうのは技術としては派手さがないが、ところがそれなりに重要」
岩上 「なるほど。今回の事故ではまさに支えが崩れていったらあとは全部絵に描いた餅。
実はあの震災の時に作業をしていた人に話を聞いた。
建屋の中が真っ暗になり、色々なものがぶつかる音、そして爆発音、火花、人が倒れ、色んなものが倒れ、そこを這って出たと。そうした体験と今の話が符合する。
色々な配管に亀裂が生じている可能性がある。配管だけでなく、格納容器、そして格納容器の底にも穴があいている可能性がある」
菊池 「これはあいている。普通の運転の時には太いコントロールドライブ(制御棒)が入っているが、それがたくさん底にあいて入っている」(ホワイトボードに図を描いている)(*)
(*)参照:
[PDF] 福島第二原子力発電所3号機における制御棒引き抜け事象について
[PDF] 制御棒駆動機構(CRD)動作不良の調査状況(概要) 1.調査結果 ..
岩上 「福島第一原発の型は制御棒が上からではなくしたからという事で根本的な問題があるという事ですね?」
菊池 「これはチェルノブイリ事故の時に指摘されていたもので、GE型の下に穴のあいている原発は許可すべきじゃないと議論がされていた。GEが力でねじ伏せたんでしょうけど。こういう穴が底の全部にあいている」
岩上 「これが圧力容器の底で、それがいくつも穴があいていてそこにものすごい数の制御棒が入る。その枠の間は漏れないようにパッキンンがされているが、地震などでどうなるか分からない。4つの大きな穴の真ん中にも穴があいている。これは?」
菊池 「これはインコア・モニタリング・ハウジング(*)と言って、炉の中の核計装。
(*)参照:[PDF] 原子力発電プラントの 炉内保全技術
原子炉圧力容器の厚みがだいたい15センチ以上あるが、上(内側)から見たら穴だらけ。溶け落ちた燃料からすれば、厚みのあるところは僅か」(*)
(*)参照:ATOMICAより「原子炉の計測(2)核計装(03-06-05-02)」
図5 BWR炉心と中性子検出器の配置図(460MW級原子炉)
岩上 「核計装とは?」
菊池 「ニュートロモニタリングシステムと言って、中性子を測ったりするシステムで原子核の核計装で、原発を運転していくための色んな計測、その為の配線で、これが一杯入っている。だから、そこはザルみたいなものでちょうど蜂の巣みたいになっている。その部分の原子炉圧力容器の弱みがGEとしてある」
岩上 「根本的な欠陥。ここに炉心が溶融していって、被覆管が破れて、燃料が溶け落ちていったら、貫通してしまう」
菊池 「この辺のインコア・モニタリング・ハウジングというのは金属が薄い。周りのパイプの厚みなんて6mぐらいしかないかな。ここはどうするんだというぐらい薄い」
岩上 「底はないと思っている?これには1日600トンの水を入れていて冷やし続けないといけない。当然、水圧も掛かりながら漏れていると考えていいわけですよね。でなければあれだけの量の水が無くなる理由もないし、大量に入れないとすぐに炉心が露出してしまう」
菊池 「やっぱり可能性があるのは原子炉の底でしょうね」
岩上 「底に何かポコッと開いているのではなくて、本来開いているものだと。
こういう状態のまま、いま現在居て、『安定している』『落ち着いている』と散々言われていて、3~9カ月という工程表が出され、ご覧になられたと思いますが、どういう方法で収束していくかという事がまるで書かれていない。
例えば、圧力容器と格納容器を一体とみなして格納容器を水で満たしながら冷却を続けていくしかない。いかにして放射性物質を外に出さないか、閉じ込めるかといっても、今はダダ漏れになっている。このダダ漏れを防ぎながら同時に冷却をしていくという方法が果たしてあるのかという話ですがどうなのか?
彼らが発表した方法をご覧になって、技術者の目から見て可能だと思われるか?」
菊池 「分からんね。やってみないと分からないという所があるので」
岩上 「逆に、出来ると言っているところのどこが問題点だと思われるのか?」
菊池 「現状が正確に把握されていて、それが報告されていれば打つ手はあると思う。打たなきゃいけない。放射線レベルが高くても、やらなきゃいけない時はやらなきゃいけないので。ロボットも使用したりして」
岩上 「今の状態、限られた情報、隠された部分もあるかもしれないという中で現状どういうふうな事が言えるのか?もしくは実際に現場を押さえている東電も分からないのかもしれない」
菊池 「僕はそう思うんだけど。分かろうとするためには相当な被曝作業があるので、たぶん分かってないんじゃないかなと思う」
岩上 「長期間冷やし続けないといけないわけだが、漏れ続けている状態、これを何とかしないといけないが」
菊池 「漏れないようにしないといけないのだが・・・(苦笑)」
岩上 「どうすれば?圧力容器じゃなく格納容器を密閉することは出来る?」
菊池 「それは出来る」
岩上 「格納容器を水で満たす事が出来るとして、格納容器はそれで持つのか?」
菊池 「もたないんじゃないかと」
岩上 「格納容器のサイズの事をご指摘されていたが、1~5号機と6号機が違うと。6号機は大きくしたと」
菊池 「容量の問題もあるけど、それ以上に、格納容器も作る時の内部の溶接線の強度を僕はあんまり信用していない。だからあんまり圧力をかけると壊れるんじゃないかとか、これまで何とか辛うじて持っていたけれど、また大きい余震が来たら壊れるんじゃないかとか、そういう心配がある」
岩上 「今の話というのはこれ以上の大きな地震で更に大きく揺さぶられる事により、亀裂が大きく拡大していく事が懸念される。金属が疲労するという事も言われていたが?」
菊池 「疲労する」
岩上 「この後の見通し。我々が出来ることは何か?ずいぶん前から菊池さんが取り組まれているのは、浜岡原発の差し止め」
菊池 「これはだいぶ前から活動していた。特に2002〜3年は必死で動いた。想定されている地震が近付いてきている。福島の沖合で起きた地震ではなく、直下型なので破壊力が全然違う。それは日本の原発が経験したことはないと思う」
岩上 「津波が悪いと東電が言っているが?」
菊池 「あれは単なる東電の怠慢」
岩上 「今日の午前中に福島瑞穂さんにインタビューをして、中部電力の『耐震性について』という資料を頂いたのだが、その中には、浜岡原発の津波対策(浜岡原子力発電所における津波の領内への浸水防止対策)で幅60mの砂丘を作るというもの。これで防げるのか?塀を作るとか書いてあるが」
菊池 「防げるわけがない。自然の力を軽く見過ぎている」
岩上 「直下型では何の役にも立たない。制御できなくなる可能性もある」
菊池 「下から突き上げられると制御棒が外れてしまう事が構造的にあり得る。浜岡は塀を作ればいいという問題ではない」
岩上 「他の原発もあるが、菊池さんから見て浜岡の次に緊急性のある止めるべき原発はどこか?」
枕上のどのブランドのミント
菊池 「伊方原発と川内原発。地震の断層としては中央構造線(*)というのが一番大きい断層。これが2000年に一回動く。それが15,6年前に高知大学の先生が伊方原発の脇の海底断層を調査したら、伊方原発を作るときにはなかった断層が2000年おきにものすごい断層を作っていた事が分かった。最後の時だけ2千何十年かでずれていたが、殆ど2000年毎に来ている事が分かった。それが15,6年前ぐらい。だからもういつ来てもおかしくない。これは日本の構造線が動いたら四国の真ん中を通り、伊方原発の付け根から海に入り、それが川内原発の海の所に抜ける」
(*)参考地図⇒中央構造線
岩上 「西日本が無事でいる事が東日本の支えになっているんですけど、本当に。関東や関西、東北と色んなところに行って感じたのは西日本には日常の生活があるという事で、西日本が無事でいてくれなくちゃ困るのだが」
菊池 「段々、長野の方から新潟の方へまわって、伊方原発の近くまで動くようになってきた。東北の地震で地盤が緩んでいるという事からいつ浜岡原発のほうで地震が起きてもおかしくないという事になった」
岩上 「なんでこんなにタイミングが重なり合っているのかという」
菊池 「世界の地震学者たちも地球が地震の活動期に入っているという見方をしているので日本だけの事じゃない。それは少し驚いたが、日本が地震の活動期に入ったということは間違いない。
みんな気にしているのは関東大震災だが、いつ来てもおかしくないと言われてから20年以上経つが未だに来ていない。これはもう来ないという事ではなく、いよいよだという事。
千葉の沖合や小田原やその南の方の似たところで規模の小さい地震が起きている。それが大きくなれば昔の関東大震災と同じじゃないかという所まで来ている」
岩上 「ちょっとそれも恐ろしい話だけれども、あの当時でも20万人の人が亡くなるような途方もない大震災。それが今だとすればどれだけの損失が起こるか。
東京直下型と東海と東南海。これらが連動するという話もあるが」
菊池 「今まで来るぞと言われて来なかったのが東海地震。それは来る順番が変わるんだろうと。東南海、南海、東海、というふうに来るだろうと予測されている。それが3つ同時に来ればマグニチュード9ぐらいにはなるという。控えめで8.8の辺り。
実はプレートが動くとすればM9だろうと言われていて台湾の台北近くまで動くと。最近は9.4とか9.6とか言っているらしい。それが本格化してきそうな気配でその中での東海地震だということ。
川内原発は地震の巣、活断層はないと言って作った原発だが、あそこは地盤が悪くて有名で、地元の人たちはみんな知っている。"ボーリングしてもろくなサンプルが採れない"と。そこのアルバイトの人が"コアサンプルを入れ替えた"と言っている。僕の知り合いの大学の先生はそのサンプルを持っていると言っていた」
岩上 「つまり、本物を出したらとても建てられないような地盤?」
菊池 「そうそう」
岩上 「それは犯罪じゃないですか?酷い」
菊池 「酷いですよ、川内原発は」
岩上 「行政の怠慢とか不作為じゃなくて作為」
菊池 「そんなところに159万キロワットの原発を作るというからふざけるなという感じ。伊方原発から川内原発までが動くというのが台湾まで動くというのとどうも連動している感じ。そうなってくると四国の真ん中を活断層が走っているので、それがずっと昇っていくと糸魚川断層などの地方構造線の様々な辺りが動いて地震が来るんだろうと言われている。
僕の知り合いが人工衛星を使って富士川断層の動きを追っているが、どうも東海地震よりも富士川断層の方が動くんじゃないかという事を言っていた時もあった。ただ、いずれにしろ、余震的に地震が近づいているのに皆が大人しい」
岩上 「非常に激しく呼び掛けていらっしゃる。止めるために行政や企業も含めて一般市民が働きかけるべきだと仰っていた。我々は何をしたらいいのか?」
菊池 「・・・(ふぅ〜、とため息)もう20年もやってきて成果が出ないと。何言ってもダメかと。この間も東京に行ってきて、その3,4日前にも東京に行き、その帰りに静岡を4周回って来て、と。
東京電力の津波が想定外だなんていう話がふざけるなと思うのは、津波の恐ろしさというのは僕らが子供の時から知っている、三陸だから」
岩上 「出身が岩手ですね、岩手の?」
菊池 「岩手の釜石。昔、巨大な自信があったという事は子供の時から聞かされている。だから地震があったら子どもたちは家には帰らず、まず山の避難道路に逃げると教わる。だから、東京電力が想定外だなんていうのは何千年も前の話じゃないよ、ふざけるなと言いたくなる」
岩上 「明治にもあり、昭和にもあった宮城県沖の地震が。その度毎に津波に襲われた。これを考えただけでも、近年の事態で、だからこそ住民の避難も訓練づけられていたし、それでもあれだけの被害を被った。やはり起こるものは起こる。
ご実家も親族も被災されたんですよね」
菊池 「もうアウト。まあ、兄貴は辛うじて生きているけれども。そんな個人的な事は言ってられない。あの東海近辺で地震が起こったら、どれだけ日本が被害を被るかと。福島には悪いが福島の比じゃない。
たぶん、関東一円は住めなくなる。関東一円だけじゃなく、南海地震まであれば名古屋から四国の方まで。この辺も津波の影響があると言われている。
僕が言い続けている理由の一つには阪神淡路の地震があった直後に週刊誌で次にくる地震という特集があった。その二つのうちの一つが都井岬」
岩上 「宮崎県のすぐそばにあるあの岬」
菊池 「もうひとつが浜岡。それが今近付いている」
岩上 「移住されたんですよね。宮崎に来られたというのは?」
菊池 「その理由はたった一つ。串間原発を作らせないため」
岩上 「浜岡にも一年間住んでいた事があるんですよね」
菊池 「それも止めるため。浜岡を止めたい一心で全国へ飛んで歩いた」
岩上 「そして串間原発を作らせないために」
菊池 「もう18年ぐらいになる」
岩上 「串間原発は他に比べて特別に危ないのか?」
菊池 「特別に、というわけじゃないが、もし予定地に今後建てたら、今後日本を襲う二大地震の一つだから」
岩上 「地元の方はどうか?どこもそうだが、地元の財界、行政、地元のメディアが一体になって地元の声を抑え込んでいくが」
菊池 「でも今回の福島の地震によって、ここは建たないと思う。土建業界と商工会議所は来てほしいという感じで今でも住民投票の準備をしているが、もうそれはないでしょう。まず間違いなく反対派が勝つと信じている」
岩上 「上関もご覧になってますよね」
菊池 「上関は地震の危険性じゃなくても、あまりにも綺麗なところなので。あんなにきれいなところに建てるのか、というぐらい綺麗なところ。今度の事で上関も変わるんじゃないですか」
岩上 「知事もしばらく中止だと言ったのになぜか中電の工事が続行されている」
菊池 「日本がエネルギー資源のない国だというから僕が頭にきている」
岩上 「これは提唱されている事があるがどういう?」
菊池 「まず地熱発電という時に、今までの地熱発電は一回忘れた方がいい。全く新しいタイプの地熱発電でやらなければいけないと思っている。
なぜ、今までの地熱発電がよくないかというと、利害関係が大きすぎるから。それをやろうとすると周辺の温泉地から文句が来る」
岩上 「今までの地熱というのは何をどのように利用して電気にするのか?」
菊池 「温泉見つめるのと同じ方法でボーリングで熱水溜まりを見つける。見つけたらそれを引っ張り出して発電するという方法だがちょっと原始的すぎる。
高温岩体発電(*)というのがあるが、それも日本のやり方ではいまいちというところがある」
(*)参考:NIRE(資源環境技術総合研究所)より 次世代型地熱エネルギーの開発−高温岩体発電システムの開発−
岩上 「高温岩体発電とはどういったものか?」
菊池 「簡単に言うと、東京でも大阪でも発電所が欲しいと言えば、地下に発電所を作ればいいと。日本ではどこでも2,000mから4,000mの間で高温が得られるのでそこで発電すればいいと。
いままでは国定公園内にあるからダメだとかいう環境破壊などで反対の声がたくさんあった。
そうじゃなく、新しい高温岩体発電はどこでも欲しいところに発電所が作れるというタイプ。
原発等の強力な発電と競争する事を考えるのではなく、そうした考え方を変えて、もっと小規模で発電すればいい。
ひとつ、前提条件として皆の頭の中に入れておかなければならないのは、アメリカは日本に比べて凄い量の地熱発電をしている。地熱発電の容量を考えたら日本が火山国なんて言えないくらい恥ずかしい事。今、更にそれを倍増させようとしている。そのうち日本が慌てだす。
九重(*)や阿蘇(*)の普通のやり方、地下から無理やり引っ張ってくるようなやり方の発電ばっかり考えている。
(*)参考:ENERGY GREENより 九重地熱発電所⇒
九重観光ホテルHPより 久住地熱発電所⇒
そういうものは蒸気を出せばその蒸気の中に硫黄分が含まれていたり環境に悪いものが出てくる。
原発を止めて地熱にすればいいと言うと、日本から寄付をしてフィリピンに作った地熱発電所の写真を持ってきて『山がこんなふうになる』と、山が炭酸ガスや硫黄酸化物によってすっかり枯れてしまった写真を見せてこれでいいのかと言う。そうすると原発反対派が縮こまるがそんなんじゃない。
まず、日本が熱のない国だという洗脳を解かなければいけない。日本は熱の宝庫。原発が無くてもそれに取り組んだら十分やっていける。
そう言っても当時の日本人はそうは思えなかったがそろそろ日本人は目を開かないと。
僕が50CCのバイクを買って全国の反原発の旅に出た時に北海道の知床半島カムイワッカの滝(*)で露天風呂に入れるし、下ってくれば指宿でも入れるし日本は温泉だらけ。
(*)参考:立ち寄り温泉みしゅらんより
カムイワッカ湯の滝⇒
だから熱がないなんて本当に嘘で、熱を活かすべき」
岩上 「なるほど。活かし方があると」
菊池 「しかも、めちゃくちゃに高い熱でなくてもいいやり方もあるし、色んな発電の仕方がある。そういうことを普通の人があんまり知らなさすぎる。温度の低い発電はダメだというが、バイナリー発電(*)という方法がある。
(*)・バイナリー発電について
・地熱学会HPより 地熱資源の利用
膨張性のガスを利用して、ちょうどビルとか一般の家庭で使う電気量の熱があれば冷暖房ができる。媒体にガスを使っている。ガスが中間にあればたいした温度じゃなくても冷暖房ができる。規模に応じて使いこなせばいい。
それと、ありふれているが日本で徹底して欲しいのは幼稚園や保育園の冷暖房は地熱でやるのだが、普通の地熱じゃない。地下10mぐらいの所の一定の温度を利用するヒートパイプ方式だと外が35度とかでも室内は26度ぐらいに出来る、そういう事を日本でも何社もやっているがあまり知られていない」
岩上 「大規模に出来ないという事は利が薄く儲からないというイメージなのか」
菊池 「僕の知り合いが広島でそういう会社をやっているが、国の方から地熱のデータを貸してくれと言われて貸したが、返してくれないと零していた」
岩上 「なんですか、それ?感じ悪いですね」
菊池 「何なんだろう。そういう嫌がらせがある」
岩上 「新しい試みをすると必ず邪魔が入るんですね。全部が成功するとは限らないが成功しなくても突破口を見出そうとしないとこのままだとどう考えても行き止まり」
菊池 「インターネットで調べるとそういう会社はある。単に地価の熱を利用するだけとか、それでも地熱には違いない」
岩上 「今日、お話を聞いていて菊池さんが言葉に詰まり困った場面というのは、総合的に見てこの東電福島第一原発の近々の見通しに関しては頭を抱え込まれたのが、今日の一番の印象。
もう一度聞きますが、これはどうなりそうですか?」
菊池 「(はぁ〜、ため息)・・・」
岩上 「やはりため息しか出ないですか」
菊池 「その当事者になるともう特攻隊精神になるはず。僕はそういう所に行かないで言えないが、そういう人たちは被曝線量が少々嵩もうがなにしろ神風特攻隊気分でやっていると思う。
でもそれで上手くいくかいかないかは指揮官が悪いと被曝線量だけ増えてさっぱり事が進まないという事になるから気が気じゃない」
岩上 「宮崎のここに来るまでに綺麗な日南海岸線を通ってきたが、途中、小休止したところが非常に美しい遺跡があったが、そこで人間魚雷の海底訓練所があった場所だと。
第二次世界大戦の末期、絶望的な戦いに追い込められた時に人間魚雷になり身を呈して特攻していった訓練所だったんだなと思ったところだった。
いま現実に東電福島原発で向かっている労働者の情報が全然開示されていない」
菊池 「絶対にいる」
岩上 「ソ連のチェルノブイリですら、どんな労働をしたか被曝しながら、あのソ連政府ですらその姿を見せていたのに、日本では全く見えない」
菊地 「あれは酷いね」
岩上 「これがその中に特攻隊精神の被曝労働者がいたと、後で分かっても後の祭り。何故開示しないのかという所と、原発というのは平時も含めてこういう被曝労働者抜きには成り立たないんだという事を以前にもおっしゃられていたと思うがそれは?」
菊池 「それは毎年の被曝労働者の定期検査はもちろんだが、原発に関する欠陥がどこかにあれば、それを直す工事をする。それは結構被曝する。そういうものがあまり知られていない」
岩上 「どんどん許容限度をあげている。100から250とか。点検や工事の間に放射線を止めることは出来ない。常に浴びている従事者もなかなか言いづらいだろうが、今の状態でどういう手があり得てどうやったら収束に向かう事が出来るのか?」
菊池 「とにかく普通の人は被曝限度があるのでやり続けられない。そうするとやっぱり自衛隊とかそういった軍隊になってくる。要するに命令に従う人たち。嫌な話だが。軍隊やら警察やらそういう人たち。一般の人たちでは応じきれないと思う。もうちょっと被曝量が多いとみんなやらなくなる。
一日でも早く決着付けたいという気持ちは分かるが、僕は思うけれど、それは被曝労働者あっての事なので早急に収束させる必要もない。外にあまり放射能が出るのも困るけれど、とにかくお金を惜しまずどんどん投入していけば少し減らせるので、金と時間をかけるという事」
岩上 「金と時間?金で何を投入すればいいのか?」
菊池 「場所によるが、例えば天然ゼオライト(*)を大量に持ち込んで投入するとか。それが放射性物質を吸着させる」
(*)参考:
・日本ゼオライト学会HPより ゼオライトとは
・汚染水浄化、仙台産ゼオライトが有望…学会有志(2011年4月7日21時32分 読売新聞)
岩上 「お金がかかる?」
菊池 「お金に糸目をかけてはいけない。安くあげようなんてそんな姑息な事をやっていたのでは全然良くならない」
岩上 「では、手はある?」
菊池 「手はあると思う。どう采配してどうやらせるかというのはそこにいた人の能力の問題」
岩上 「天然ゼオライトをどこに?」
菊池 「それは放射性物質のあるところ。被せるとか」
岩上 「なるほど。しかし海洋への汚染水の投棄は大変ですよね」
菊池 「あれも、出来るだけ東電福島原発のサイトの何でもない所にコンクリートの壁でプールを作り、その中へ移動させないといけない。海に流すというのは最悪」
岩上 「分かりました。やはり何度も言葉を濁されるというのは見通しが立たないという事でそう簡単じゃないという事ですね。状態が分からないと何とも」
菊池 「状態が分からないという事が一番。見えていれば何か手の打ちようもあるが」
岩上 「それは配管の状態などの穴や亀裂の箇所ですよね。でも行けないんですよね」
菊池 「そう」
岩上 「まだ余震も続いている中、更に大きく損傷していくという懸念も。仮に最初の地震では大きく破断してなくても、重ねて揺さぶられたら、と」
菊池 「最初の地震がきた後、400回も余震が来ているのだから、少々の罅なんかはどんどん進む」
岩上 「やはり大きくなると。これは解決に時間がかかると難しくなりますね」
菊池 「でもとにかく放射能を出来るだけ広範囲に広げないで福島原発のなかに全部閉じ込めるような事を考えないと」
岩上 「分かりました。長時間長々と有り難うございました。見通しが暗い中でも新しい情報が出ることを期待したい。少しでも様子が分かれば何か知恵の出しようもあるかもしれない。もう少し詳細な情報が分かるように」
菊池 「あまりにも情報がなさ過ぎて。もう少し出せるはずなんだけど」
岩上 「まだ持っていると思われる?」
菊池 「思う」
岩上 「情報の公開を本当に望みたい。それによって英知を結集して収束に向かう事が出来れば本当に良いと多います。体調悪い中、本当にありがとうございました。
これにて、元GEの技術者の菊池洋一さんへのインタビューを終えたいと思います」
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